ー 2026年4月24日(金)、「第38回全国会長会議」において、日本商工会議所の小林健会頭と吉田会長による対談が行われました。 デフレからの転換期を迎え、日本経済は新たな局面に入っています。コスト増や人手不足など、全国の中小企業が共通の厳しい課題に直面する今、地域経済の好循環を生み出すための「大局的思考」と、これからの時代を生き抜く「経営者のあり方」について、吉田会長が聞き手となって小林会頭がお話しされました。全国のYEGの皆様へ、その対談の様子をお届けします。
を生き抜く「経営者のあり方」について、吉田会長が聞き手となって小林会頭がお話しされました。全国のYEGの皆様へ、その対談の様子をお届けします。

吉田会長:本日はよろしくお願いいたします。現在、日本経済はデフレからの転換期にありますが、我々中小企業はコスト増や人手不足など厳しい状況が続いています。地域経済で好循環を作り、新たな価値を創出して利益を生み出すために、中小企業にはどのような視点が求められるのでしょうか?
小林会頭:まず大前提として、YEGの皆さんはご自身の会社を経営しているからこそ、発する言葉や政策提言に迫力と威厳があります。 今の時代に必要なのは「自己変革」です。周囲の環境の変化が早いため、自分の考え方や対応の仕方を、まるでカメレオンのようにしょっちゅう変えていかないと世の中に適応できません。そして、自分一人では限界があるため、同業他社や地方行政との「価値共創(1+1を3にするアプローチ)」が重要になります。私はよく青年部の経営者や経営指導員の意見を聞くのですが、現場の意見を聞くことで地域の課題がおぼろげながらわかってくるのです。
吉田会長:急激な変化に対応するリーダーとしての自己変革ですね。我々青年部も親会に政策提言を提出していますが、どのように活かしていただいているのでしょうか?また、政府で検討が進む「地域未来戦略」に対するお考えもお聞かせください。
小林会頭:青年部からの提言は毎回読んでおり、我々が気づいていない部分を掘り下げてくれているものは、幹部の中でしっかりと議論しています。 地域未来戦略については、日本の労働人口の7割が中小企業であり、家族を含めれば日本の人口の3分の2が中小企業で生計を立てています。この層の個人消費を増やさなければ、日本のGDPは増えません。そのためには、これまで海外に投資して稼いでいた大企業に対して、国内への「地方投資」を強く求めています。これが地方の産業インフラと商業インフラを守り、発展させる鍵になります。
吉田会長:地域に必要な財を残していくという意味では、「事業承継」も重要だと考えています。今後の事業承継についてのお考えを教えていただけますか?
小林会頭:団塊の世代が後期高齢者となり、事業承継は待ったなしの状況です。商工会議所としてお願いしているのは、「できるだけ早く相談してほしい」というシンプルなことです。早く相談することで選択肢が増えます。また、せっかく事業承継をするのであれば、効率の良いM&Aなどを通じて、事業を「一回り大きくする」ことを考えてみてはどうでしょうか。企業同士が合併して良くなっていく視点も必要です。
吉田会長:続いて、国際連携について伺います。我々中小企業が海外へ目を向ける上で、どのような心持ちで活動していけばよいでしょうか?
小林会頭:中小企業の海外進出には大きく2通りあります。1つは大企業のサプライチェーンの中に入って一緒に出ていくパターンで、これが一番安全で成功しやすい事例です。もう1つは、中小企業自体が単独で出ていく、あるいは自分でサプライチェーンを作っていくパターンです。直接、海外の厳しい環境に晒されることになりますが、これからの円安局面では必要になってきます。現地の経営者も若い人が多いので、小回りのきく青年部の方が親和性があります。ぜひ果敢に挑戦していただきたいですね。
吉田会長:グローバルな最前線で活躍されてきた会頭の経験を踏まえて、これからの時代の「経営者としての大切な考え方や覚悟」を教えてください。
小林会頭:経営者として必要なことは、大きく4つあると思います。 第1に「倫理観」を持つこと。コンプライアンスも含め、人間として当たり前のことです。 第2に「想定力」。自分のビジネスに没頭しつつも、夜寝る前などに一歩下がって「世の中はどうなっているのか」「自分の会社はどうなのか」と、一回り大きく世の中を見てみることが大事です。 第3に「実行力」。判断も大事ですが、圧倒的に「決断力」が重要です。檜舞台で決断をすることほど、人間として醍醐味のあることはありません。 第4に「人を見る目」です。人に任せて、結果責任を取るのが社長の役割です。
吉田会長:会頭は三菱商事時代に函館の赤字ドックを立て直されたそうですが、危機的な状況をどのように乗り越えられたのでしょうか?
小林会頭:一言で言えば「人とお金」です。組合が非常に強く、お金も注文もない最悪の状況でしたが、人は固定で雇用は維持するという前提で、思い切った外科手術的な対応をしました。復興には時間がかかりましたが、労働運動の内部などを深く知る経験になりました。
吉田会長:最後に、本日全国から集まった商工会議所青年部の会長たちに向けて、期待を込めたエールや、これからの青年部に期待したいテーマをお願いします。
小林会頭:若くして地域の青年部会長などの地位を得ると、もしかすると失うものがでてくるかもしれない。しかし、失うことを恐れないでほしいとは思います。思い切って行動すれば、親会も温かい目で見守ってくれるはずです。その時期、その年齢層にしか出せない特権的なエネルギーがあります。 そして、青年部に一番やってほしいのは、地方の「自然の生態系」に刺激を与えることです。若者が都会へ出て行きシュリンクしがちな地方において、青年部が刺激となり、「もっとやることがある、いろんなことをやってみよう」という文化を作っていってほしいと強く願っています。
ー 小林会頭のお話から、「自己変革」と「価値共創」の重要性を改めて認識しました。私たちYEGには、その特権的なエネルギーで地域に対し、刺激を与え続ける役割があります。失うものを恐れず、我々が起点となって地域に好循環を生み出す活動を、これからも楽しく、そして果敢に続けていきたいと思います。
文責:広報DX委員会 副委員長 松葉真梨子

